はじめに
土地の境界は、家や建物を守る「敷地の額縁」です。
この額縁が曖昧なままでは、売買・相続・建築計画に支障をきたし、将来の紛争の火種にもなります。
そこで隣地所有者と共に境界を確認する「境界立会(たちあい)」が重要となります。
では、この立会いを拒否するとどうなるのでしょうか?
1. 法的根拠 ― 土地基本法第6条第2項
土地基本法は 令和2年法律第12号 により改正され、令和2年3月31日に施行 されました。
この改正で新設された第6条第2項は、土地所有者の責務を次のように定めています。
(土地所有者等の責務)第六条
2 土地の所有者は、前項の責務を遂行するに当たっては、
その所有する土地に関する登記手続その他の権利関係の明確化のための措置及び
当該土地の所有権の境界の明確化のための措置を適切に講ずるように努めなければならない。
つまり、境界を明らかにすることは 土地所有者に課された法的責務(努力義務) であり、境界立会いはその具体的な実践なのです。
2. 拒否がもたらすデメリット
- 売買・融資が滞る
金融機関や不動産会社は、境界未確定の土地を扱わないことが多い - 隣人トラブルの火種
「塀が越境している」「樹木がはみ出している」といった紛争に発展する可能性 - 相続時の負担
境界未確定のまま相続すると、子や孫にトラブルを残す - 訴訟リスク
境界確定訴訟を提起され、裁判所の判断に委ねられる場合もある
3. 拒否された場合の対応策
隣人が立会いを拒否したときは、次の方法を検討する必要があります。
- 土地家屋調査士による交渉
専門家が中立的に説明・調整を行い、協力を得やすくする - 筆界特定制度の利用
法務局に申請し、筆界(公法上の境界)を特定してもらう - 境界確定訴訟
行政手続きでも解決できない場合、裁判所の判断により最終的に境界を確定。
まとめ
✍️ 境界立会いは「ご近所のお願いごと」ではなく、土地所有者に課された法的責務の一部です。安心と財産を守るため、積極的に対応しましょう。