はじめに
土地の境界をめぐるトラブルは、隣地関係や不動産取引において深刻な問題を引き起こすことがあります。
境界確定測量を行えば多くのトラブルは防げますが、実際の現場では思わぬ事態が起こることも。
この記事では、よくあるトラブル事例と、その防止策について解説します。
トラブル事例①:隣地所有者が立会いに応じない
内容
隣地所有者が測量に協力してくれず、立会いができないため境界の合意形成が進まないケースです。
防止策
- 事前に文書や電話で「なぜ測量が必要なのか」を丁寧に説明する
- 調査士から正式な通知を送付して信頼性を高める
- 不在や相続未登記などの場合は、役所や法務局と連携して手続きを進める
トラブル事例②:境界標が移動・破損していた
内容
境界杭が長年の工事や自然災害でなくなっている、または誰かによって勝手に移動されてしまっていたケースです。
防止策
- 測量前に現地調査を行い、既存境界標の有無を確認する
- 復元測量で正しい位置を割り出し、新しい境界標を設置する
- 設置後は定期的に確認し、境界標を保護する
トラブル事例③:越境物がある
内容
隣地から塀・樹木・建物などが越境していることが測量で判明するケース。
防止策
- 越境部分を双方で確認し、将来の取り扱いを覚書として書面に残す
- 可能であれば越境物を撤去、困難な場合は使用承諾を得る
- 不動産売買の際には必ず現状を明示しておく
トラブル事例④:境界認識の相違
内容
古い測量図や記憶に基づいて、隣地所有者が「境界はここだ」と主張する場合があります。
防止策
- 公図・登記簿・過去の測量図を精査し、法的根拠を示す
- 客観的な測量結果を提示し、第三者の立場から調査士が説明する
- 合意できない場合は「筆界特定制度」や調停を活用
まとめ
境界確定測量の現場では、以下のようなトラブルが多く見られます。
- 隣地所有者が立会いに応じない
- 境界標が亡失・破損している
- 越境物の存在
- 境界認識の食い違い
これらは事前の準備や丁寧な説明、そして専門家(土地家屋調査士)のサポートによって多くが防止可能です。
境界確定測量は「境界を明らかにする作業」であると同時に、「人と人との合意形成の場」であることを意識することが大切です。